辨 |
クワズイモ属 Alocasia(海芋 hăiyù 屬)には、スリランカ・中国(南部)・東南アジア・オーストラリアの熱帯・亜熱帯に約60種がある。
ヤエヤマクワズイモ A. atropurpurea フィリピン産、西表島に分布
シマクワズイモ A. cucullata(尖尾草・尖尾芋) 『中国本草図録』Ⅸ/4402
小笠原・琉球・華南・四川・東南アジア・インド産
キッコウダコ A. cuprea
A. denudata ボルネオ・マレー・インド産
A. hainanica(南海芋)
A. indica マレー・オセアニアに分布
シロスジクワズイモ A. lindenii
カブトダコ A. longiloba(箭葉海芋)
テイオウハイモ A. lowii
インドクワズイモ A. macrorrhizos フィリピン・ボルネオ・ニューギニア・北東濠洲原産
クワズイモ A. odora(海芋・大根芋・狼毒)
A. robusta
コウライダコ A. sanderiana
トラフイモ A. zebrina
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サトイモ科 Araceae(天南星 tiānnánxīng 科)については、サトイモ科を見よ。 |
訓 |
和名は、地上部がサトイモに似ているが芋がなく、有毒で食えないことから。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』23(1806)芋の条に、「クハズイモ イシイモ ドクイモ」と。 |
説 |
四国(南部)・九州(南部)・琉球・臺灣・福建・江西・湖南・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ・ボルネオ・ヒマラヤ・インドに分布。 |
誌 |
中国では、塊茎を薬用にする、ただし食用にはできない。 |
クラズイモ属の植物は、かつては毒抜きをして食用にしたという。
「(中尾佐助) 加熱で毒抜きという技術は、限られたものではたいへん有効である。たとえば、八丈島や御蔵島のシマテンナンショウとかクワズイモなどのばあいがそれだ。植物学的にいうと日本にあるクワズイモはアローカシアです。それとちょっと違う種類ですけれども、インドから南太平洋で栽培しているアローカシア、それが大部分ひどい毒性のものです。そいつを焼いてから水の中でもみ出す。それから、ヤマイモではディオスコレア・ヒスピーダ
(Dioscorea hispida)というのがインドからマレーシアにわたってある。それも焼いてから水の中でもむというやり方で食用にしている。」(『照葉樹林文化』1969) |